スーゼントの怨霊

ハデスの力

一人になったハデスは傷ついた体をベッドに横たわらせ、ある呪文を唱えた。
この呪文は人間の精神を攻撃する。
魔の力を手に入れた者が使う事で威力を増す。


残された十九人の男達は二人組を八組、三人組を一組に別れ、壊れていない九つの家でそれぞれ戦いに備えていた。
魔神を倒すための罠でたくさんあった家がもう、九つしかない。
かなり痛い代償を受けてしまったのだ。

夜になり、九つの家では緊迫感を漂わせている。
村人達はハデスが傷ついている事を知らない。
窓から様子を伺う者やドアの外でボーガンを構える者までいた。
その日は何事もなく、朝日を迎えた。
村人達は安堵の表情を浮かべ、夜に備えてまぶたを閉じた。
しかし、ハデスの魔の手がじわじわと迫っていた。

「アホめ。お前らが目覚めたら最後。端から順番に痛めつけてやる。」
魂を体から離し、村の状況を確認していた。
その視線に気づく者はいなかった。
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