スーゼントの怨霊

村の過去

ナムは全員を集めて村に帰る前夜にみた夢の話を始めた。
「最初は大自然の中で動物と遊ぶ夢をみていたけど、いつの間にか真っ暗な場所に立たされていて方向感覚が全くない状態だ。そんな俺に声を掛けてくれた人がいたんだ。あれは間違いない!村長だった。声で分かった。真っ暗で見えなかったけど…。それで村長は俺に村の過去について話してくれた。シュリバ達がこの村を襲ったのは知ってるだろ?実はこの話に続きがあったんだ。好き勝手に暴れるシュリバに対抗する為に建てたのがあの石造りの家で、中には鎖で繋がれたフックが数本垂らされている。それは捕らえたシュリバを吊して生皮を剥ぐ為の物。男以外の村人達には木こりの為に建てたと言っていたらしい。今はあの扉を開ける度にシュリバの怨念が飛び出し、怨みをはらそうとするのだと…。」
ナム以外は全員知っていた。
ただ、自分達の身を守る為にやった事が裏目に出てしまい、大切な者を失うはめになろうとは思ってもいなかった。
< 63 / 84 >

この作品をシェア

pagetop