スーゼントの怨霊

気持ちは一つ

剣を交えて一時間。
ハンターの仕事で長時間戦う事はなく、持久力がもたずに呼吸が乱れる。
ハデスは受けた傷を魔力で治している。
「このままでは負けてしまう。」
無心で戦っていたナムは正気を取り戻し、対策を考えた。
しかし、目の前の敵に警戒するのがやっとだった。
「ナム、こんな程度か。笑わせるなっ!」
傷を癒やしたハデスはナムめがけて突進した。
突き出してきた剣を弾き飛ばし、胸に剣を突き刺した。
「グォォォォ!」
猛獣の雄叫びのような悲鳴を上げ、体から強烈な光を放った。
その光はナムを拒むかのように遠くへ吹き飛ばした。
剣が刺さったままのハデスは牢獄に向かってブツブツと何かを唱えた。
すると、牢獄から無数の魂が飛び出してき、飛び散っているハデスの血液に触れた瞬間、人型に姿を変えた。
その数、五百人。
吹っ飛ばされた衝撃で意識が朦朧(もうろう)としているナムは圧倒的な勢力を目の当たりにし、あがき苦しむより死を受け入れる覚悟を決めた。
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