スーゼントの怨霊
ナムは剣を一旦放し、スプーンを取り出した。
「覚悟しなよ～！」
悪さをする前の子供のような表情を浮かべ、キンキンとスプーンを鳴らした。
「ギャャャャ！」
悲鳴が上がるとベッドの血が生きているみたいにベッドの布団へ戻っていった。
「うっしゃ！」
剣を軽々と引き抜き、さっきの壁をすり抜けようとしたが、まだ何らかの魔力が働いている。
「これでどうだ！」
さっき引き抜いた真っ黒の剣で魔力の壁を突き刺した。
もし、この剣が冥王の魔力を喰らおうとした伝説のダークブレードだとしたら破れるはず…。
息をのんで見守っていると、剣の鞘(さや)に彫られてあった無数の目がガタガタと震えながら次々に目を開いていく。
全てが開ききった時、剣が共鳴するかのようにうねりをあげた。
すると、壁から黄色がかった透明の液体が吹き出し、煙をあげて人の姿になった。
「こんな奴に…」
壁になりすましていた奴が最後に発した言葉は剣に触れた時に聞こえてきた声だった。
ナムは剣を拾い、煙のように消えゆく魂の中を突っ走った。
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表紙・目次

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