秘めるはずだった初恋
私は今人生で最も緊張している。大学の面接試験よりもずっと緊張している。


私の想いは迷惑じゃないのか不安で仕方ない。


固唾を呑んで、無言を貫く敏くんを見つめていると、敏くんの切れ長の瞳は私を映した。


「有理子さんの気持ち、よおわかったわ。すげー嬉しい――――でも、ごめんな」


やっぱりそんな気がした。
実は両想いでした、なんて少女漫画や恋愛小説のように起こるわけなんてない。


「いいの。私は、聞いてくれるだけで充分だよ」

「俺な、有理子さんのこと好いとるよ。でも、それは男女の意味やない」


うんうん、と相槌を打ちながら敏くんの話を聞く。


「こんな俺を好いてくれてありがとう」


敏くんは私の両手を優しく握り締めたまま、お礼を言ってくれた。


「私こそ、ありがとう……」


私はポロポロと涙を流したまま笑顔を浮かべた。




それから、電車は動き出し、二十分後に私の地元の最寄り駅に到着した。


「春から友達してよろしくな」

「こちらこそ」


敏くんに手を振りながら、電車から降りた。


発車してどんどん遠くなっていか電車をホームからじいっと見つめる。


胸に秘めた想いは伝えたけど、私の中で新たに一つの秘密が生まれた。


それは、敏くんへの想いを抱き続けていくこと。


「好きだよ……」


いつかあなたじゃない人を好きになれる日が来るまでは、好きでいることを許してください。





end.
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

王子様の溺愛【完】※番外編更新中

総文字数/96,121

恋愛(純愛)103ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
初めての恋は ただ甘くて あたしの心臓を 壊していくのです ※一話完結、三人称です 完結 2017.8.31
葦名絢芽は、初恋を諦めたい

総文字数/11,157

恋愛(純愛)23ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ずっと離ればなれだった初恋のいとこと 私の家で一緒に住むことになりました かっこよくて、クールで 近寄りがたくなったと思ったけど… 「あと、ごふんだけ……」 寝ぼけまなこできつく抱き締めたり 「絢芽を一人で帰らせるなんてむり」 ぎゅっと繋いだ手を離してくれなかったり いとこだから諦めなきゃだめなのに 甘すぎて“好き”がどんどん大きくなっちゃうよ 立花 伊織(たちばな いおり) クールだけど、絢芽にだけ甘えたなイケメン × 葦名 絢芽(あしな あやめ) 引っ込み思案だけど癒し系な美少女 「わたしのこと、きらわ、ないで……」 この恋は禁忌? 「絢芽のぜんぶ、受け止めるよ」 それとも…? ちょっぴりこじれた ピュアで極甘なおはなし
エアラブまとめ

総文字数/8,507

恋愛(その他)29ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
エアラブに投稿した掌編のまとめです。 ※付いているタイトルはヤンデレ要素があります。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop