だいじなもの。


あれからどれくらい経ったのだろうか。



何時間?


何分?



分からない



けど気持ちがまとまることはなかった。




「……赤ちゃん、いなくなっちゃった」



煌へ何か伝えなきゃ。



そう思って出た台詞は震えてしまった。


「わた、しが殺した………」



受け入れたくない。



受け入れない。



そんな気持ちが強くて、感情が表に出なかった。



「奈緒は悪くない。誰も悪くないよ」



何度もそう繰り返して握った手を優しく撫でてくれた。



煌の優しさに、感情が溢れ出てしまった。



受け入れなくちゃいけない。


乗り越えなくちゃいけない。


いつまでもこんな状態ではいけない。



分かってる。


分かってるけどもう少しだけ時間をください。
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