極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
 私がハイスペック彼氏を求めるようになったのは、両親の離婚の影響が強い。

 結局のところ、父と母は結婚に失敗したのだ。
 母が離婚してひとりでがんばっていると知ると、なおさら私は逆に、誰もがうらやむ結婚がしたいと願ってしまう。
 ハイスペックで立派な男性となら、幸せな家庭が築けると信じているから。

「んじゃ、俺は会社に行くわ」

「あ、うん……涼我、ありがと」

 コーヒーを飲み干した涼我が静かに椅子から立ち上がる。
 そのまま玄関へ向かい、靴を履きながら私の方へ振り返った。

「樹里にも電話しとけよ。迷惑かけたんだから」

「わかってる」

 私が返事をするのを見届け、安心したように玄関扉を開けて涼我は出ていった。
 昔からそうだけど、念押しにもぬかりがない。
 家族にたとえると兄や父のような頼りになる存在なのだが、細かく世話を焼くところは姉や母のようでもある。

 そんなこんなで十八年だ。
 子供の頃は普通のクラスメイトだったのに、いつから涼我はこんなに大人になり、しっかりとした男になったのだろう。
 体も大きくなり、(たくま)しくなって、いつの間にか頼れる男に成長している。

 大人になった今、私が夢みたいな理想の男性像を語ると、涼我はいつもあきれ顔になる。
 だけど私は、ハイスペック彼氏をあきらめたくはないのだ。


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