極上初夜は夫婦のはじまり~独占欲強めな社長ととろ甘結婚いたします~
「なんで涼我が来たのか不思議だったんだけど、事情が今わかった」

『涼我は心配性なのよ』

 私と樹里は高校で同じクラスになってから、もう十年の付き合いだ。
 ということは、涼我と樹里も同じ年月の付き合いになる。
 樹里は涼我と特別親しいわけではないけれど、さすがにその性格は知り尽くしている。

『和奏が泥酔しているって伝えたら、なんでそんなに飲んだのか聞かれた。部長のせいだとだけ言っといたけど……』

「うん。今朝、会社辞めたら?って話になったよ」

『え!?』

 自分の発言が影響したのかと、スマホの向こうから樹里が驚いた声を出す。

「無職になるのが嫌なら、涼我の会社で働かないか、って」

『そっか……うん、それもいいかも。涼我が雇ってくれるなら』

 涼我が会社を経営していて、最近大きく業績を伸ばしていると、もちろん樹里も知っている。
 だけど、ただ幼馴染というだけで、コネ入社なんてしていいのだろうか。

 バリバリと大手商社で働く樹里がその提案に賛成するとは、すごく意外だった。
 それは社会人として甘えすぎだと、てっきり反対されると思っていたから。

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