俺様Dr.に愛されすぎて




真木先生と付き合ってから3ヶ月と少しが経とうとしている。



最初は取引先の人と付き合っているなんて知られたら面倒なことになるし、と真木先生と付き合っていることは黙っていた。

けれど、『恋愛のほうは最近どうなんですか?』とあれこれ訊ねてくる深田さんから、他の女性社員、そこから男性社員へと噂が広がり……。

『あの藤谷に男ができたらしい』という噂になっていたことは知っていたけれど。



まさか相手が真木先生だというところまでバレてしまっているとは。

あぁもう、恥ずかしい。





あれこれと考えながらやってきた、池袋駅。

東口からつながった地下駐車場のいつもの階のいつもの場所には、白い車が停められている。



あ、いた。

それを見つけて近づいていくと、運転席ではスマートフォンをいじり時間を潰している様子の真木先生がいた。

コンコン、と小さく窓をノックすると、私に気づいた彼は車に乗るよう手招く。



「お疲れ様です」

「あぁ、お疲れ」



なんとなく業務的な言い方になってしまいながらも車に乗り込むと、もはや嗅ぎなれたこの車の香りに包まれた。



「予定通り俺の家でいいか?どこか寄ってくところは?」

「あ、じゃあスーパー寄って買い物していきましょうか。夕ご飯、私が作りますね」



その言葉に真木先生は頷くと、さっそく車を走らせはじめる。



平日夜に時間を作って会う時、真木先生はいつもこうして迎えにきてくれる。

それからまた葛西方面にある真木先生の家へ向かうのだから、私が向かったほうが彼も楽だと思うのだけれど……真木先生はいつも、『少しでも一緒に過ごせるように』と来てくれるのだ。



少しずつ仕事が増え土曜出勤も増えてきた私。

夜勤もあり、さらに救急外来の担当で日曜が潰れてしまうことも多い真木先生。

会社員と医師という違う職業ゆえに生活リズムがズレてしまうこともあり、連絡すらまばらになってしまう。……けれど。



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