俺様Dr.に愛されすぎて



「ど、どうです?チョコケーキ」

「ん。うまい。ここのケーキ好きかも」



そう言って、子供のように笑う。いつもの凜とした表情と違うその表情がかわいらしく、胸がキュンと音を立てた。



もう、その表情は反則でしょ……!

意外と甘いもの好きなんだとか、そんな風に笑ったりするんだとか、初めて知るそのひとつひとつに、胸は揺さぶられてばかりだ。



恥ずかしさを紛らわせるように、残りのケーキをバクバクッと口に押し込む。



ケーキはとても甘くておいしいのに、彼といると味がよくわからなくなる。

ドキドキと、心臓がうるさくて、恥ずかしくなって。それどころじゃなくなってしまうよ。



あっという間にケーキを食べ終えると、「ふう」とひとつ息を吐き出す。



「美味しかったです、ごちそうさまでした」

「どういたしまして」



言いながら、自分の皿と、同じく食べ終えた彼の分の皿とをまとめて捨てようと手を伸ばす。

すると、その時。真木先生はその手を突然掴んだ。



彼の大きな手にしっかりと手を包まれ、心臓はまたドキッと強くはねた。



「ま、真木先生?」



裏返りそうになる声で名前を呼ぶと、すぐ隣の彼は私の顔をじっと見つめる。




< 34 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop