俺様Dr.に愛されすぎて



そう、だ。真木先生は以前まで病棟側の担当で、入院患者を診ていた。

そこできっと、様々な出会いと別れがあったのだろうと彼の遠い目から察することができた。



「そのうち、わからなくなるんだ。人と向き合うことに意味があるのかって」



出会って、言葉を交わして親しくなって、けれどその人はほどなくして命を終える。

そんな瞬間を何度も見てきたのだろう彼は、迷ってしまうこともあるのだろう。



どうせ向き合っても、そう思えてしまうことも、きっと。



「けど藤谷は、いつも全力で動いて、笑って、頑張ってる。今を精いっぱい駆け抜けてる」

「……そんな、私はただ必死なだけっていうか」

「その必死さがいいところなんだって」



全力や精一杯なんて、そんな言い方は美化されているとしか思えない。

私はいつだって、自分の仕事に必死だっただけで、そんな深くは考えていなくて。

でも彼は、そんな私に微笑んでくれる。



「そういうところが眩しくて、好きだよ」



こちらへ向けた目を細めて、囁く。



……そんなふうに、見てくれていた。

いつも必死で、かっこよくなんてない私のこと。『眩しい』と言ってくれる。

そのことが嬉しくて、心があたたかくなる。





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