あなたと私の関係



あんなに些細なことでイライラするなんて、カルシウムが足りてない証拠だね。絶対そう。




決めた。夜も焼き魚にしてやろう。ちゃぶ台返しされるまで作ってやる。




私は1人そう決心して、朝ごはんを食べたあと預かった合鍵でしっかりと鍵を閉めて家をでた。




「おはよう彩羽!家主さんはどうだった?」




学校につくと、待ってましたと言わんばかりに美月が駆け寄ってきた。




「うーんと、めちゃくちゃ短気で、怒りっぽくて、カルシウムが足りてない人だった」




「え、なにそれやばくね」



「やばいけど、多分面倒見がいい人だから大丈夫だよ」




…女の人だと思ってたけど実は男の人で、しかもそれが美月の大好きな雨宮綾で、住まわせてもらう代わりに家政婦やってます、なんて口が裂けても言えない。




「さっきは朝ごはんいらないって言われたけど一応作って置いといたら余計なことするなって怒られたとこ」




「やば。彩羽生きていける?大丈夫?」




「大丈夫だって!笑顔はお花みたいに可愛いし、何とかやっていけるよ」




「お花って…なんかますます心配なんですけど」




不安そうな美月を横目に、今日の晩御飯の献立を考える私。なんだか主婦になったみたい。




お母さんと2人のときは自分の気分だけで作ってたけど、今や相手は今をときめく人気俳優、雨宮綾。




思わず食べたくなるようなご飯を作って見返してやるんだ。




ガキだの不良娘だの言われっぱなしじゃ癪だもん。



今こそ汚名返上のチャンス!





1人で変に気合が入ってしまった私は、ケータイで特売のチラシを見比べながら1日を過ごした。




焼き魚に、筑前煮。お味噌汁は朝の残りに具をたして、うん、完璧じゃない?





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