あなたのことは絶対に好きになれない!
「だ、誰か来ますっ。離れてくださいっ」

言いながら、私は後ずさりして自分から彼と距離を作った。

後ろの壁に背中がドンッと当たった。


「み、深央ちゃんは昔から優しくて仲良くしてくれて大好きだったから……!」

「俺は昔から意地悪くて仲悪くて大嫌いだったと?」

「ですね……」

「てめー」

そこまで話したところで、人の足音が近付いてくるのに気付いた。

オウスケくんも私から距離を作り、そして小声で。


「お礼の内容は、とりあえず保留。たっぷりいじめてやるから覚えとけ」


そう言って、営業室へと入っていった……。



いじめてやる、なんて酷い。
お礼イコールいじめることっておかしすぎるでしょ。あのサディスティック男!


でも……



意地悪だけど、優しいところもあるって今は知ってる。


私の泣き顔を見るのが好きだなんて本当に最低な人だと思うけど、改めてお礼するっていう約束は、そんなに嫌じゃなかったりする……。


変なの、私。
オウスケくんとは、もう一生会いたくないって思ってたはずなのに、こんな風に感じるなんて。
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