桐谷高校殺人投票
「それに、先生の遺体があのままっていうのはどう考えてもおかしいだろ」


裕司の言葉にあたしは先生の遺体を思い出してしまった。


流れ出る血が雨に滲んでいく様子を、慌てて脳裏からかき消した。


「パトカーや救急車も来ない」


裕司が更に追い打ちをかけるようにそう言った時「やめて!!」と、ネネが叫んだ。


自分の体を両手で抱きしめて震えている。


「状況はちゃんと把握しなきゃいけない。助けが来るなんて、見込みのないことを話してても意味がないだろ」


「裕司!」


和が裕司を睨み付けて静止した。


本当はみんな理解していたんだ。


学校中を見て回った時間があったのに、助けも来ないなんておかしいことだった。


「俺たちはここに捨てられたのか?」


そう言ったのは松岡悠(マツオカ ユウ)だった。


悠はいつもどこかぼんやりとしていて、今も何を考えているのかよくわからない。


「それはないだろ。学校に生徒を捨てるなんて聞いたことがない」


裕司がゆっくりとそう言った。
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