キミと初恋。
いいんでしょうか。


ーーヒーローの隣には、ヒロイン。


私がヒロインになってしまっても。ヒーローの隣に立っても、いいんでしょうか。


幼稚園のお遊戯会でもそう。私はいつもサブキャラを演じてた。


シンデレラでは悪い継母の娘役だったり、ダンスを踊れば端っこの方のポジションだったり。


本当に、いいの? こんな私で、そんな私で、本当にいいの?


「かすみ、俺はお前と一緒にいたい」


優しい声で、一生聞く事なんてないって思ってた言葉を、ヒーローは語りかけてくれる。


「かすみは? かすみはどうしたい……?」


そんな風に問いかけてくれる。


「私は……」


そんなの決まってる。ずっとずーっと憧れてた。


私なんかって思って、卑屈になって。初めから期待しなければ、叶わなかった時悲しくないって。


そう思って諦めてた。



だけど、本当はーーいつかは私もヒロインになりたいって、思ってた。


願わくば、颯ちゃんのヒロインにーー。




「颯ちゃんと、一緒にいたいです」




そう言ったら、ヒーローは優しく私を抱きしめてくれた。


閉じ込められたお城からヒロインを救い出す、ヒーローみたいに優しく、カッコ良く。



ヒーローの隣には、ヒロイン。



いつか、私も颯ちゃんに似合うヒロインになれるかな……?


……なんて思わず呟いたら、距離が近いせいで聞き取られてしまったみたい。

そしたら、「バーカ」なんて、優しく言われてしまいました。



「お前、かすみ草は補助的に見てるだろうけどな、こうやってかすみ草だけでもいい感じにブーケはできんだよ」



そんな風に呟いて、颯ちゃんは私をぎゅっと抱きしめた。


さっきよりも強く、包み込むように、ぎゅっとーー。











【fin】
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