甘々王子に懐かれた!?


友達に対する愛と、恋人に対する愛は違う。




「……優茉」




幸が静かに口を開いた。


こんな幸は珍しい。相当、怒っているんだろう。




「きっと先輩は今回動かないよ。動けない。ならね、あんたが動くしかないの」




よく分かってる。


でも、どうしても、あと一歩が踏み出せない。




「今の状況が一番だめなことくらい、分かってるでしょ。あんたはそこまで馬鹿じゃない」




幸の言葉に、私は頷く。




「追いかけなさい。追いかけて、追いかけて。振られるかもじゃない。振られたと言えるようになりなさい!その人にしか分からない気持ちがある。優茉は振られるかもしれないし、OKされるかもしれないの。いまはどっちかわからない。ハッキリさせなよ」




〝私はいつだって優茉の味方なんだから〟


〝振られたときは、そのときは、思いっきり私の胸で泣きなさい〟


〝頑張れ〟


幸の私を思うその言葉たちが嬉しくて、ちょっぴり泣いてしまった。


幸は馬鹿だねぇと、私の涙を自分の袖でゴシゴシしてきた。




「優茉ちゃんはいい友達をもったね」




微笑む瀬戸川先輩に、私は涙を流しながらこくこくと頷いた。


追いかけよう。


これで安心して追いかけられる。


振られたとしても、頑張ったねって言ってくれる友達がいる。




「私、頑張るね……!」
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