恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】


「昨日、約束しただろ。ご褒美やるって。どこか行きたいとこあるなら連れてってやるし、なければ飯でも行く?」



えっ。
ご褒美って、あのチュッパチャップスではなかったの?


ご褒美は昨日いただいたつもりで、まさかの申し出に反応が遅れる私。
東屋さんが運転しながらちらりと視線を私に投げた。



「なんか予定あった? ああ、彼氏と約束とか」

「いえ! 無いです、全然まったく!」



慌てて答えながら、時間差でじわじわ湧いてきた喜びを噛みしめる。


これ、なんかちょっと。
デート気分が、デートもどきにランクアップ?


いや、あくまでただのご褒美なのだけど!


でもどうする?
どこか行きたい場所か、ないならご飯。


今すぐ思い浮かばないけど、ご飯って言ったらご飯だけで終わってしまうのでは?
それならどこか行きたい場所を指定して、時間によってはプラスご飯で少しでも長くいられるのでは?


そう閃いてしまった私。
い、いいかな、いいよねそんなささやかな計算くらいしちゃっても、こんな風に一緒に居られる機会なんてないんだし。


考えている間にも、とりあえず帰る方角へと考えたのか車は高速に乗ってしまい、窓の外を眺めながら、焦って行きたい場所を考えた。


「悩むなら別に無理にとは、」

「行きます行きます行きますからちょっと待って!!!!」

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