恋に涙を花にはキスを【コミカライズ連載中】

ハンカチを差し出されて、ありがたくお借りした。
何が、とはとても言える内容ではなく、私は下手な誤魔化しをする。



「か、歓迎会をしてくれるのが凄く嬉しくて」

「……え?」

「私、歓迎会とかしてもらったことなくて! 段取りしてくれた西原さん見たらめっちゃ泣けましたすみません」



嘘は言ってないけど、歓迎会をするようなシチュエーションがなかっただけで特に人間関係に恵まれなかったわけではない。
余りに下手くそな誤魔化し方だとわかっちゃいたが、もう脳には考える余力が残ってなかった。


「……そんなことで? ほんとに?」

「はい。すびばせ……」


西原さんがじっと私の顔を覗き込む。
嘘くさいですよねわかります。


だけど次の瞬間には、西原さんはぱっと笑顔になり私の肩をばしばし叩き始める。


「泣くほど喜んでくれたなら嬉しいけど。そんなことで泣くなんて可愛い!」



え、信じたの?
とかくんと膝が折れそうになったが、それ以上突っ込まれなくてほっとした。

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