だからそれは、愛じゃない。



 そうじゃないのに。違うのに、その事を言葉にできなくて。


 言葉っ足らずな俺はただただ、朱里を抱きしめる事しかできなかった。朱里は俺を慰めるようにポンポンと優しく背中を撫でてくれた。



 情けない。
 …………本当にゴメン。


 ……朱里は鶴田から殴られる覚悟でいるかもしれないけど、俺は絶対に朱里を守ってみせるから。


 近くにいる時くらい、朱里をちゃんと守れる男になりたいんだ。


***


 高城にも伝えなきゃと、今日はワザとお腹が痛いと仮病を使って部活を見学する。


 正直部活をしている場合ではない。

< 197 / 250 >

この作品をシェア

pagetop