コバルトブルーの誘惑
約束の土曜日。私がオフィスに嶺緒を迎えに行くと、

「もう、そんな時間だったか…」と慌てて荷物を片付けている。

「嶺緒、忙しそうね。また、次の機会でも良いけど…」と言うと、

「いや、行くよ。いつになっても忙しいんだから…」と微笑み、私の手を取った。


「嶺緒、食事ちゃんとしてる?」

「まあ、食べてるよ。会食も多いし、お酒も飲む。
でも、今日はお酒はやめておこうかな
家に帰っても仕事が残ってる。」と苦笑いだ。

「美味しいお蕎麦食べようっておもってるんだけど…」

「楽しみだよ。日本はいつまでも暑いから冷たいお蕎麦は美味しい。」と微笑む。

老舗のこじんまりしたお店に入り、
枝豆やだし巻き卵、冷奴、野菜の煮浸し、トマトの和え物など、私が庶民的なメニューを選ぶと、どれも美味しそうに口にしてくれたので、安心する。




< 37 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop