二人だけの秘密
「クッ」

美希さんの言葉を思い出し、僕は下唇を噛みしめた。

「風俗嬢として働きながら、彼の入院代を払う。そんな生活でも、私は彼と一緒に暮らせることを夢見ていました。でも、私が風俗で働いたのと同時に、性的暴行を男子大学生数名に加えられました」

顔をしかめて言う、かなさん。淡々と話すかなさんの声には、怒りが含まれていた。

「………」

テレビで報道していたニュースが、僕の脳内によみがえる。

「あの男子大学生たちに強姦されたせいで、妊娠してしまいました。そのせいで大学はしばらく休学し、この仕事もしばらく休んでいました」

ニュースで報道していた通りのことを、かなさんはリアルに説明する。

「………」

僕の左胸が、ズキズキと痛む。


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