二人だけの秘密
「美希さん、仕事辞めたのかな………」

僕はそう呟いて、美希さんの言っていた言葉を思い出す。

『後、少しなんです。兄の学費代一年分払ったら、私も普通の女性になれるんです』

「クッ」

その言葉を思い出しただけで、僕の胸が痛くなる。

「………」

僕はiPadから、美希さんが働いてる風俗店を検索した。いつも通り風俗店の公式ホームページがディスプレイに映り、そのまま美希さんの出勤予定を確認する。僕の目に、今後の美希さんの出勤予定が映る。

「やっぱり………」

今後の美希さんの出勤予定も、未定のままだった。日記も更新されておらず、時が5月で止まっているような気分だった。

「外は、こんなに暑いのに………」

その言葉とは裏腹に、僕の心は異常に寒かった。

「はぁ〜」

口から深いため息を漏らし、美希さんのいない学校生活を振り返った。

友梨と裕也とは別になかよくなるつもりはなかったが、向こうから喋って来た。
そのせいか、裕也たちとは話すぐらいの関係になってしまった。

ーーーーーー裕也とは、美希さんのことを思って話したくないのに………

僕は複雑な気持ちを抱きながら、画面をスクロールした。




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