幼なじみじゃ、なくなった夜。
まだくっついてなかったの?














「はぁ…」



仕事中。いつものように請求書のデータを打ち込みながら、気付いたらため息が漏れている。





本日、何回目のため息だろう。そして、一体何に対してのため息なんだろう。



もう頭の中ごちゃごちゃで、何から考え始めたらいいのか分からない。だけど、それでも仕事は毎日のように降ってきて、尽きることはない。だから、とにかく今は目の前の仕事に集中…集中だ!!!




「夏帆〜、榎波が呼んでる」



「っは!?」





カタンッ





思わずビクッと体が跳ねて、その弾みで誤って違うキーを押してしまった。




「ったく、全然集中できてないじゃん」




マグカップを持った愛理が自分の席に座る。どうやら給湯室へ行ってきたらしい。




「…え、もしかして今の嘘?」




近くに榎波の姿はない。



愛理はそうだけど、とアッサリ白状した。





「え、なんでそんな嘘言うの?」



「別に〜?ただ夏帆朝からずっと様子おかしいから、榎波と何かあったのかなぁと思って」





当たり?
愛理が得意げに口角をあげる。




ったくもー…なんて心臓に悪い嘘を!!





「嘘つきには教えませーん」



「ふーん。きょうの夜詳しく聞くわ♪」






愛理め…なんか楽しそうだな!こっちは悩みすぎてハゲそうだというのに!!





< 24 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop