極甘求婚～クールな社長に愛されすぎて～

「おかしいですか？」
「…いや。だが、まずは服を買いに行く」


間が気になったけど、紬は先を急ぐかのように車の方へと向かってしまったので、追いかけるようにして足早に付いていく。


「どうぞ」


助手席のドアを開けてくれた紬にお礼を言い、乗り込めば木目調のインテリアパネルが目に飛び込んできた。


「わぁ！ステキですね」
「きみのお父さんほどではないが、俺も車は好きなんだ」


あとから乗り込んで来た紬はそう言うとハンドルをさすった。

その表情は柔らかく、本当に車が好きなのだと伝わってくる。


「フフ。父に負けず劣らずですよ」


見た目こそイケメンとおじさんの差はあるけど、ハンドルを愛で、微笑む様子はそっくり。
塵ひとつない車内も。


「綺麗好きなんですね」
「あぁ。そういうのは仕事にも反映するから。それよりいつまでも見てないでシートベルト締めてくれないか」


少し照れたような様子が可愛くて口元が緩む。

でも早くしろと言わんばかりに厳しい視線を寄越されたので、急いでシートベルトを着ける。