リト・ノート
7.あいたいとおもってたなら


顧問教師が九州に帰省する関係で、陸上部の活動は冬休みは毎年少ない。たまにはダラダラしたいし、健吾にとってこれは願ってもない休息だった。

母方の祖父の家に長めに滞在し、大晦日には近所にいる親戚もみんな集まってすごい人数になってくる。宴会の準備を手伝わされるなんてごめんだと、小さい子から大きい子まで子供達は離れに避難中だ。

もうすぐ始まる宴会は夜中まで続き、年が明けて初詣、寝て起きてからお年玉をもらって、その夜に東京に戻ってくるのが毎年の恒例。



年末のテレビも面白くないし、健吾は従姉妹が持ち込んだゲームをやっている。

「なんだぁ、健吾もう別れちゃったのか。すごいかわいい子と付き合ってるっていうから写真とか見たかったのに」

いつの話だよ、と年上の従姉達を冷たく見るが相手にされない。

「でもかっこよく育ったもん。モテるでしょ、あんた。今は好きな子いないの?」

勝手に頭をグリグリと撫でられるが、おちょくられるつもりはないから黙秘を決め込む。

「部活の休みにデートしてるらしいよ」

転がってマンガを読んでいるはずの省吾が口を出してくる。

「えー、青春! なになに、東京の子はどこでデートすんの。ゲーセンとかじゃないわけ?」

どこのおばさんだ、と高校生女子に口答えをして口をつねられる。田舎の子の方がよっぽど派手だよね、と省吾も呑気にコメントするがなぜかこちらはあまり弄られない。

「俺じゃなくて省吾に聞けば」

「省吾はオタクつながりだからアニメ系の店とか行ってるんでしょ。そういうんじゃなくて、さわやか運動部の恋を知りたいわけ」

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