言わないけれど、好き
後編
ダブルベッドに二人で寝転び、明日のアラームを確認する。

すると彼女が脇の下あたりに潜り込む。

ここが定位置と言わんばかりだ。

俺は少しだけ携帯ゲームをしているあいだ、彼女は背中を預けて俺の腕をさすっている。

これも合図だ。
ただ、恥ずかしがり屋の彼女は言わない。
でも俺は合図だと思っている。

耳たぶを少し舐めとると、ピクンと少し跳ねる体。

ほらね、期待している。


「もしかして、待ってる?」
「・・べつに?待ってませんけど」
「あ、そう。じゃ今日はいい?やめとく?」
「・・・・・もういいです。やめときますよ」
「ほんとうにいい?寝るよ?」
「・・・・・・・・よくない」
腕にすり寄せてきた彼女の頬に熱を感じる。

こういうところも、俺には可愛いと思える。

軽く首筋にキスを落とす。
小さな吐息が、俺をたまらなくしていく。

「好きだよ」

彼女が俺の顔を両手で包み込んだ。
目を合わせ、優しく微笑む。
その瞬間、俺のリミッターが外れた。

「俺も・・・」

好きと小さく伝え、彼女の首筋に顔を埋める。

「なかなか言ってくれないから、貴重だね」

不満でもなく文句でもなく、むしろ嬉しそうに彼女が言う。

ほんと敵わない。

こんな俺でいいのか?とか俺といて幸せか?とか・・いろいろ言いたくなるけど

「俺も大好き」

そう言って細い体を抱きしめる。
これが精一杯だ。

しかも滅多に言わないし言えない。
態度に表すのもこれがやっとだ。


「うん、ちゃんと伝わってるよ。あたしも大好き」


あぁ・・・その笑顔。もう本当に。
心が満たされるっていうのはこういうことなんだろう。



そして今日も佐和子への「好き」が積もり溢れていく。

気恥ずかしくて言えないけれど。


*終わり*
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:59

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

鷹宮先輩、ズルいです 〜泣き顔を拾われたら、極甘上司に溺愛されました〜

総文字数/109,770

恋愛(オフィスラブ)32ページ

第8回ベリーズカフェ恋愛小説大賞エントリー中
表紙を見る 表紙を閉じる
お久しぶりです。梅津ひなとです。 電話一本で遠距離彼氏にフラれ、さらに隣家の火事で帰る場所まで失ったOL・堀川葵。 路地裏で泣き崩れた彼女を拾ったのは、関西支社から異動してきたイケメン主任・鷹宮璋でした。 「放っとかれへん」 失恋の“応急処置”のはずが、鍵まで渡されて始まる訳あり同居生活。 仕事では冷静な上司、オフモードでは甘くて不器用な関西弁男子。 新人研修の頃から彼女を見ていた男の本音と、居場所を失った女の子の心が、少しずつ近づいていきます。 失恋から始まる、甘くてズルい無自覚溺愛のオフィスラブ。 けれどこれは、逃げ場のない恋を、ふたりで“帰る場所”に変えていく物語です。 2026.4.17 本編完結しました。 2026.4.19~ 番外編(作品番号1780186)を更新中です✨ ※本編読了後にぜひご覧ください。 2026.4.28 編集部オススメ作品に選んでいただきました🍀 *感想やいいね、ありがとうございます! いつも励みになります!! そして、ランキング入りしました! お読みくださった皆さまのおかげです。 本当にありがとうございます。:+((*´艸`))+:。!! ※本作はフィクションです。 登場する人物・団体・出来事はすべて架空のものです。 ※表紙イラストはAIを使用して制作しています。
表紙を見る 表紙を閉じる
「逃がさへんよ、今度こそ、俺が守る――」 優しかった幼なじみは、過保護で独占欲強めの救命士になっていた。     ○o …  ☆  … o○ 救命士×激甘重め溺愛の初恋ヒーロー 池田 遥希 29歳 救急救命士 消防士長 × はる兄大好き×仕事頑張る女子 水谷 芽依子 23歳 はる兄とめいの初恋物語を 一緒に楽しんで頂けたら嬉しいです♫
表紙を見る 表紙を閉じる
推しは夢を見せてくれる。 でも彼は、現実の熱を教えてくれる―― 触れなければ、恋じゃないと思っていた。 ◆ ヒロイン 藤原 志穂(28) クールなふりをしているが、実は涙もろい。 この夏に解散するアイドルグループに推しがいるアイドルオタク。 好きなカクテルはブルームーン。 ――叶わぬ恋と、奇跡の恋。 ◆ ヒーロー 藤垣 綾人(30) 童顔のベビーフェイスで、志穂の推しによく似た男。 志穂からは“王子”と呼ばれている。 実は一目惚れだが、気のないふりをしている。 好きなカクテルはウォッカギブソン。 ――隠せない気持ち。 終電を逃した夜、 鑑賞用だったはずの恋が、静かに現実へと変わっていく。 ※本作はフィクションです。 登場する人物・団体・出来事はすべて架空のものです。 ※表紙イラストはAIを使用して制作しています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop