ワケあって本日より、住み込みで花嫁修業することになりました。
「すみれ、結婚しよう」

私たちが初めて出会った家の庭先で、彼はストレートな言葉でプロポーズしてくれた。

新たな婚約指輪と、大きなすみれの花束を抱えて――。

昔、自分の名前でもある〝すみれ〟の花言葉を調べたことがある。

〝謙虚〟〝誠実〟〝小さな幸せ〟

駆け落ち同然でいっしょになった両親は、私の名前にすべての想いを託したのだと信じたい。

謙虚を忘れず誠実な人間になるように。小さな幸せをたくさん感じられる人生を送れるように。

そんな想いを込めてくれたのだと。

彼からプレゼントされたすみれの花束を見つめ、強く願った。



そして二度目の婚約後。私は彼の住むマンションに引っ越してきた。……引っ越してきたんだけど……。

「なぁ、花嫁修業がどういうことか……お前、ちゃんとわかってる?」

壁際に追いやられ、ジリジリと距離を縮められていく。

どうしてこんな状況に陥ってしまっているのか。誰か教えていただけませんでしょうか?
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