キスでつないで
1.

伊織と紫

ショッピングモールにお盆休みはない。
当然、そのインフォメーションカウンターで働いてるワタクシも同様だ。
落とし物やら館内案内やらで、狭い中で皆慌ただしい。

「ゆかりー!先に休憩入って!」
「わかった!」

後半の戦力を考え、早めに休憩を回すことになり、あたしは手早く荷物を持ってバックヤードに入った。
さすが、連休。
家族連れやらカップルやらがひっきりなしにやってきた。
ずっと対応していたので、喉がカラカラだ。
マイボトルを取り出そうとしたとき、スマホの画面が点滅した。
新着メッセージの窓に、嫌な名前が表示される。

「・・・うげぇ・・・」

品のある制服に反する声が思わず漏れる。
数秒間、考えたのち「よし、見なかったことにしよう」とひとりごちた。

そんなあたしの考えを読み取ったかのように、今度は着信となって知らせてきた。

とる?

とらない??


「・・・・・・・・なんか用?」
「おせーよ、今、休憩入っただろ?」
「は?なんで知ってんのよ」
「さっきまでインフォ近くにいたから。お前全然気づかねーのな」
嘲笑しているのが、電話越しでもありありと伝わってくる。
この男は・・・ほんと!腹立つ!!

「生憎、どっかの誰かと違って、あたしはリーダーで忙しいんで!」
「あーそういや先月からリーダーになったんだったな。オメデトー」
「うるさい!バカいお!用がないなら、電話切るわよ!」

そうだ。貴重な休憩時間を消耗されてたまるもんか。

「今日早番だろ?ちょっと付き合え」
「は?どこに?」
「終わるころに迎えに行くから。じゃ、頑張れよ紫」
「ちょ?いお??伊織っ?」

言うだけ言って、もう【通話終了】になった。

「ほんと・・・わがままでジコチューなんだからっ!!バカいおぉぉぉ!!」


こんな男がいお・・・もとい、伊織といって、あたしの幼なじみであり、
認めたくないけど、【好きな人】なのである。


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