涙の、もっと奥のほう。
話している内に、私にある感情が芽生えてきた。

「お母さん、お父さんの事教えて!」

今まで思った事なんて無かった事を思っていた。

どこに住んでいて、何の仕事をしていて、何歳の時に私が生まれて、一緒にいた時はどんな父親だったのか…知りたくて仕方なくなっている自分がいた。

お母さんが死ぬまで忘れられ無かった男の人物像を、一欠けらでもいい、手の平に掴みたくなったんだ。
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