ミントブルーの純情
いろんなものがぐるぐると渦巻いて私に降ってきて、先の見えない大きな洞窟にでもひとりで取り残されてしまったみたいに感じる。
『自分の気持ちに素直になっても』
伊藤くんの言いたいことは痛いほどわかった。彼がすべて気づいていて、言葉を選んでくれていることも、私のことをとても大切に考えていてくれたことも、全部全部、わかった。
でもーーー弟、だ。
みつは、私の家族で、大切な『弟』。血が繋がっていないけれど、同じ家で、同じものを食べて、同じ時間を共に過ごした。大切な家族。大切な弟。だいじな、大事な、……弟の、みつ。
『大丈夫?』っていうみかちんの声を思い出す。私って案外気持ちを隠すのが下手なのかもしれない。みかちんだってきっとずっと色んなことを察していたんだろう。
素直になるって、何?
みつに対する家族以上の気持ち? みつが私に向けるベクトルが姉のそれではないこと? わかっているのに認めちゃいけないって、わたしが自分の気持ちを制限するのはそんなにダメなこと?
だってどれだけ足掻いたって、私とみつは家族なんだよ。姉と、弟以上にはなれないんだよ。
どれだけ考えたって、わたしの気持ちは無駄でしかない。それなら、認めるなんてそんなこと、したくない。
素直になんて、なれるわけない。