クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
嬉しそうな声が、耳から身体の中に流れ込んできて、心臓をコツンと打った。

そこを押さえながら、「私も楽しみです」と答える。


『先生の家、駅の向こうですよね、ロータリーまで迎えに行きます。ええと…10時半でどうですか? あまり遅くなれないんで』

「はい、わかりました」

『じゃあ、日曜に』


通話が終わった後も、携帯は温かく、会話の名残を留めている。

明後日なんて急な誘いだな、と思いかけて、気がついた。もっと早く誘ったら、それ以降、私と園で顔を合わせてしまう。たぶんそれが恥ずかしかったのだ。

ふふっと笑みが漏れた。

素敵な息抜きの日にしましょうね、有馬さん。

くたくたになるまで遊んで、律己くんと一緒にコトンと寝てしまえばいいです。

私、お手伝いしますから。

着信履歴に残った番号を、登録する必要があると思ったのだけど、今それを事務的に済ませてしまうのも、なにかもったいない気がして。

しばらくベッドの上で、2分にも満たない通話時間の表示を見直しながら、さっきの会話を思い返していた。

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