クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「へえ…」と感心したような目つきを息子に投げる。律己くんは頬をピンクに染め、得意げな顔でそれに応えた。


「お前、プログラム書いてみる?」

「それはさすがに早いんじゃ」

「流行ってるじゃないですか、習い事でプログラミングとか」

「四歳で?」


有馬さんが笑い、私も笑った。

私たちを交互に見上げて、律己くんも笑った。

いろいろありつつも、全体的に見れば日々はいい方向に転がっているような。

そんな明るい気持ちになった。


* * *


六月に入った。


「先生、ご無沙汰してます」


朝、律己くんを送ってきたのは、おばあちゃんだった。

杖もなく、以前のようにしゃっきりと歩いている。治ったんだ。


「おはようございます、お元気そうで!」

「私が寝込んでいれば、主人が少しは成長するかと思ったのに、一緒に元気をなくしてしまって。やむなく復帰です。男ってほんとに役立たず!」


あはは、と私は笑った。

すっかり元通りの、品よく切れのいいおばあちゃんだ。

律己くんの身体の状態を改め、問題ないのを確認して預かる。彼はリュックをロッカーに押し込むと、友達のところへ走っていった。


「あの、これからは、またおばあちゃんが?」

「ええ。律己もまたうちで寝泊まりさせることにしました。息子もしばらく忙しくなるようで、治ったなら頼むと言うので」


気がついたらおばあちゃんは部屋を出て行った後で、私はひとり、受付にぼんやり突っ立っていた。

登園簿を見る。いかにもあの年代の人が書く達筆さで、迎えの予定欄に"十七時、祖母"と書いてあった。
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