クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「有馬さんは、スポーツは?」

「中高はサッカーやってたんで、会社のフットサルチームにでも入ろうかなとずっと思ってて、結局手を出せずにいます」

「どうして?」

「なんでかな…たぶん、根が体育会系じゃないんです」


困ったように言う彼と、あはは、と声を出し合って笑った。

ちょっとわかる。そんな感じ、します。

不思議な時間。ときおり建物自体が攻撃されているみたいに振動を感じるほどの風雨。その中にぽっかりできた、安心な空間。

静かな室内で、夜用のひそやかな声で有馬さんと話す。


「あ、莉々ちゃん、眠くなったかな」


急に電池が切れたようで、小さな身体がおもちゃを抱えてうずくまっている。私はテーブルを少し寄せて昼寝用布団を敷き、そこに莉々ちゃんを移動させた。


「律己、お前も寝ろよ」


もとからお風呂上がりだった律己くんは、来たときからパジャマだ。お父さんの勧めにこくんとうなずき、莉々ちゃんの隣に横になるなり寝てしまった。

ふたりにタオルケットをかけて、まぶしくないよう四隅のライトをふたつ消す。

暗さが増したのと、子供たちの遊ぶ気配がなくなったのとで、園内がしんと静まり返ったような気がした。

棚の上の時計を見ると、零時前。


「電気、復旧しませんね」


テーブルと一緒に奥の壁際によけた有馬さんが、同じ時計を見ながら言った。


「そうですね」

「真夏だったら厳しかったですね…」


布団のおかげでスペースがなくなってしまったので、私は彼の隣に腰を下ろし、ひざを抱えた。扇風機の音と、時計の音。どちらも規則的で、眠気を誘う。


「先生、くたびれたでしょ、寝てください。俺、起きてますから」

「私ね、子供を保育園に預けて働く母親が、なにを考えてるのか知りたくて、保育士になったんですよ」

「え?」
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