最終決戦の前夜に……。

初めて会った頃は…。
15歳で旅を始めた当初は、幼さが残る”男の子”って感じだったのにね。
一方、代々戦士の家系で肉体的にも精神的にも大人びていた私。
同じ歳なのに、身長も私より低ければ童顔のエルトは、よく弟に間違えられたっけ。

それが今では、立派な勇者様。
身長も伸びて、体格も良くなって、強くなって…。

国で天才剣術少女って呼ばれてた私でも、きっと今手合わせをしたら敵わないよ。


本当に、本当に、格好良くなったね。


「……髪。」

「!っ…え?」

「髪、伸びたな。」

「え?っ…あ、ああ。うん。」

ボーッと昔の事を思い出していたら、いつの間にかこちらを見ていたエルト。

恥ずかしいのと、髪の話題を出されて、私は思わず自分の毛先を手で軽く握りながら俯いた。

背中まで伸びたこの黒髪も、懐かしい想い出。
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