君が見せてくれた、私の世界
汚い、どす黒い感情が渦巻いていると…ゆっくりと横開きのドアが開いた。



「……そよ…。」


「想世架…!」



ママだけだと思ったのに…パパまで来てくれていて。


ちょっとだけ、びっくりした。



「そよ……!
もう大丈夫なのね…?」



私に駆け寄って、膝立ちになるとすぐに手を繋いで頭を撫でながら言ってくれるママに。


そっと頷いたら、私の手をおでこまで持っていくようにして…そのまま泣き始めた。



「意識がはっきりしていてよかった…。」


「……パ、パ…?」


「新しいお薬を投薬してもらったんだ。
もし、身体に合わなくて副作用がひどいかもしれない…って言われたから。
……良かった…そよ…。」



ママを支えるように、ママの肩に手をかけながら微笑むパパ。


その笑顔は…私の大好きな笑顔で。


……でも、目の端に涙の雫が見えた。





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