君が見せてくれた、私の世界
桐原 直央
「あ、まだ自己紹介してなかった。
急に話しかけたりしてごめんね。
俺、桐原直央って言います。」



私と、目線を合わせるようにしゃがみ込んで笑ってくれるスナオさん。
キリハラスナオ……。
確かに、スナオって名前の通りこの人は素直そうな人だなぁ……。


なんて呑気に思っていたら、ばっちり目が合ってしまった。
み、見ないでほしい…。
今きっと顔真っ赤だからっ……!!
…なんて、にこにこしてるこの人には伝わってないんだろうな。



「白鷺 想世架です。」


「想世架ちゃんかぁ…。
うん、可愛い名前だね。ぴったり。」


「えっ!?あ、どうも……。」



そんな、にこにこしながら言わないでくださいよ……。
この人、本当に素直な人なんだ。
大丈夫かな。
詐欺とかに引っ掛かりやすそうだけど…。
……うん、今すっごく失礼なこと考えてる。
ごめんなさい、直央さん。



「想世架ちゃんっていくつ?」


「あ、17です。
早生まれだから、高校3年生…。」


「あ、俺と一緒だね。
俺も高3。」


「えっ!?見えない…。」


「ははっ、うん。
そうだろうなーって思ってた。
想世架ちゃん、敬語使ってくるし…。」


「ご、ごめんなさい…!」


だって、本当に見えないんですもん。
なんていうか…大人の包容力?余裕?
そんなものが見えたんです…。
同い年なんだぁ…。
ちょっとだけ、嬉しい。



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