君が見せてくれた、私の世界
「そうだ。
想世架が好きそうな本、見つけた。」


「…わぁ…。
ありがとう、綺麗な表紙だね。」



九条先生の言うとおり、私は年明けに一般病棟へ移った。

体調がなかなか良くなくて、大晦日の年越しも…病院で他の患者さん達と一緒に過ごした。
みんなと過ごせなかったのは残念だったけど…それでも、先生たちや他の患者さんと沢山お話したりするのは楽しかった。

千暁は、お正月の時に朝一番で来てくれて、
明けましておめでとうって一緒に笑ってくれた。



そんなお正月も明けた頃、いつもは本なんて読まないくせに私に本をくれた。
青空に流星群がかかった…どこか幻想的な表紙の本。




「たまたま行った本屋で見つけた。
お前、こういうの好きだろ?」


「うん。ありがと。」



なんだろう。
題名は……『私が生きてる今日は、君が生きたがった明日』

なんとも、奥が深そうなお話。
それにこの作者…直央くんが好きな人だ。
私が、直央くんと出会うきっかけにもなった本の作者でもある。



「面白そうな題名だね。」


「あぁ。
お前なら、上手くまとめて感想教えてくれるかなーって期待してる。」


「もう…。読めばいいのに。」




やーだ、と笑いながら。
当たり前のように私を抱きしめてキスを落とす千暁。
何回されても、毎回ドキドキしてる。

顔を赤くしてたら、それを千暁が笑うのもいつものこと。


そろそろ、慣れたい。
恥ずかしすぎる。




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