【短】どうしてきみを好きになってしまったんだろう
いたい。
イタイ。
痛い。

揺れる心が痛い。

涙が出そうになるあたしに、大亮はまたえくぼを作って笑い、優しく…そして少しだけ熱を込めてこう言った。


「ケリ、付いたら、必ず電話してこいよ?絶対に一人で泣くな。いいな?…俺に、掛けてこいよ…」


優しい優しい声と、瞳。
それに、黙って頷き…彼の優しさにそのまま暫く縋って、揺れていた。

大亮が、好きだ。


でも。


でも。


でも…。

どうして【あの人】の後に、キミを好きになってしまったんだろう?


どうしてキミを好きになってしまったんだろう?


あたしはまだ【あの人】の呪縛から解けないのに。


心がそれを完全に裏切っている。



「大亮…あたし…」

「分かってるって。今すぐに答えなくてもいーって」

「でも…」

「俺はさ、そういうお前が好きなんだよ。大丈夫だって。どんなお前でも抱き留める準備は出来てるっつーの。今更だろ?」


まるで、本物のガキ大将みたいに微笑んだ大亮が眩しくて、愛しくて。

あたしは鼻をすんっとしながら、微笑み返した。


「やっぱ、大亮には敵わないや。ありがとう。ちゃんと、ケリつけるよ。そしたら……電話するね?」

「おぅ。泣くだけ泣いてスッキリしたら、その後の事…一緒に考えような?」


ぽんぽん

撫でられるその手は、いつも以上に優しくて。
あたしは零れそうな涙慌てて拭って、また静かに頷いた。

片想いって本当に、どうしてこんなに身を震わせる程、苦しいんだろう。

あたしは【あの人】の何処を見て、好きだと恋焦がれていたのか。
もうそれすら分からない。
ただ、この軋んだ胸の痛みだけは本物で。

そう思うとこの恋はもう過去の事だと、ホロホロと少しずつ、想いが解けて行くような気がして…なんとなく前に進めるような気がした。

この先は…大亮の片想いを、あたしがゆっくりと受け入れられたら良いと思った。

その、えくぼにもっともっと笑顔を重ねられるように…。

あたしが大亮の…隣にずっといられたらいいのに…そう、思った。

だから、この恋はもう終わりにしよう。

そう決めて、私は氷の溶け掛けたアイスティーを飲み干した。




fin.
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