純粋乙女の恋物語
切なくて、甘い恋
時は昭和。


先の大戦が終わって二十年近く経つと言うのに、私の周りでは、「女が男を立てて家を守る」と言う古い考えが横行している。


小学生の時分に、父親参観で「将来の夢」と言う題で作文を発表する機会があり、私は「いい大学を出て、オフィスレディになって男の方のように働きたい」と言った。


それを聞いた父は、帰宅してから私の頬を激しく打った。
あまりに痛さに泣き出した私に、父は冷たく言い放ったのだ。


「女が学を付ける必要はない。学ぶのは男を立てて家を守る術だけでよい――――」


少しずつ男女平等の考えが広がっていると言うのに、我が烏丸(からすま)家では戦前のような男尊女卑の考えがまかり通っている。


なぜなら、烏丸家は旧華族であり、血筋を残していくことを最も重要視しているから。


一人娘の私は、烏丸家当主である父のお眼鏡に適ったお相手が見つかり次第、その方と結婚する運命を辿る。


……冗談じゃない。


私はお人形じゃない。
ちゃんと意思と感情を持った一人の人間だ。


家の為に好きじゃない人のお嫁さんになりたくないわ。


私には昔から慕っている方がいるのに……。
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