繋がる〜月の石の奇跡〜
えみは家に着き、ソファーに腰掛ける。

そして、井上のことを考える。

『あの二人、どうなったのかな。』

井上のことを考えると胸がドキドキし始めた。

えみは深いため息をする。

『井上くん。』



すると、えみの電話が鳴る。

画面にはしらない電話番号が表示されている。

『誰だろう。』



「もしもし?」

えみは躊躇いながらも電話に出る。

「もしもし。」


電話から井上の声が聞こえてきた。

「井上です。」

「う、うん。」

えみは慌てて返事する。


「ちゃんと家戻れた?」


「うん。家着いたよ。」


「そっか。よかった。じゃぁ、また合宿でね。」

電話を切ろうとする井上に慌ててえみが話し掛ける。

「井上くん!」


「ん?」


「あの、えっと・・。」

えみは、ゆりことのことを聞こうとするが、途中で言葉に詰まる。

「お、おやすみ。」


「うん。おやすみ。」

えみは、ゆりことのことを聞けないまま電話を切った。

えみは、また大きくため息をした。


すると、また電話が鳴る。

「もしもし!?」

えみは急いで電話にでる。


「えみちゃん?」

今度は大谷からの電話だった。

「はい。こんばんは。」

「あはは。こんばんは!」

電話から優しい大谷の笑い声が聞こえてきた。

「どうしてるかなと思って。」

「さっき家に戻ってきました。」

「そうなんだ。」

安心したように大谷が言う。

「今日はありがとうね。おやすみ。」

「おやすみなさい。」

えみは電話を切り、ソファーにもたれこむ。


『ドキドキが止まらないよ。』
< 52 / 117 >

この作品をシェア

pagetop