会長代行、貴方の心を全部わたしにください
彼らと、廊下に溢れた受講者たちの歓声に後押しされて、俺は事務所に入った。

兄はソファーにふんぞり返り腕組みをし、事務スタッフを睨んでいた目を 俺に移すなり怒鳴った。

「お前はどういう、教育をしているんだ!」

「落ち着いてください。貴方の声、外までだだ漏れでしたよ」

俺はゆっくりとソファーに座りながら、兄をなだめた。

「おかげで作家先生方から、建設的な言葉をいただきました」

兄がこちらの言葉に面食らい、あんぐりと口を開け、俺の顔を見つめている。

「受験されるそうですよ。彼らを焚き付けてしまわれましたね」

「会長代行!」

兄と対峙していたスタッフが感極まったのか、俺の手を両手で握りしめた。

「ご自分で彼らを焚き付けておいて受けるなとは、おっしゃいませんよね」

俺とスタッフが兄を見据えて言うと、兄は勢いよく立ち上がった。

「勝手にしろ!!」
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