会長代行、貴方の心を全部わたしにください
会長代行が就任以来、社内の雰囲気が明らかに変わってきているのは常々、感じている。

社内のパワハラやセクハラなども、ずいぶん減った。

「あの……もう1つ、お伺いしてもいいですか」

「何だ?」

「会長代行はお兄さま方を差し置き、ご自分が会長になるとしたら、抵抗はありますか」

「妙な質問だな。俺は特に抵抗はない。順当に資格のある者が経営のトップに就いたところで、上手くいくとは限らないからな」

「実力のある者がということでしょうか」

「そうだ。兄たちが社を継いだら、結城コンツェルンは3年と保てないだろうな。まあ、総代しだいだがな」

淡々と語る表情には、自信が溢れていた。

会長代行として会長の代わりに社運を背負い、僅か半年。

関係各所や関連企業から、その手腕を絶賛されているばかりか、社内の各部署からも絶大な信頼を寄せられている。
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