【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
放課後になり、私と彼方は鬼龍院くんに「……今日は、よくもやってくれたね」と声をかけられ、また教室にはいつもの三人だけとなっていた。
「と、とりあえず僕は負けてやっただけで、だな……僕は、今までの考えを完全に否定したわけではない……生まれてから十七年この考えで貫き通してきたんだ。そうそう変わるわけがない」
「そっか……そう、だよね」
分かっていたことだ。
分かっていたことだけど、自分の無力さに悲しくなる。
「うっ……そんな、気を落とさないでくれ近衛クン……考えを改めたわけではないが……」
優しい、穏やかな口調。
鬼龍院くんは少し目を伏せて、まるで独り言のように話をはじめた。
「鬼龍院財閥の跡取りとして、常に上に立っていなければいけないと教えられてきた。たが、それだけではないのかも、しれないと……少し……ほんのちょっとだけ、思う」
やわらかな笑顔を、窓から差し込む夕日が綺麗に照らした。
「……いつか、ちゃんと僕にも分かる時が来れば……いいな」
そっと、呟いた。