【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「やあ、近衛クンじゃないか!」
夕日が指す廊下を歩いていると、前から鬼龍院くんがやってきた。
「あ、鬼龍院くんも残ってたんだ」
「近衛クンこそ、まだ帰っていなかったんだね」
「うん、今先生に必要な材料とか書き出して提出してきたところなの」
そこまで言うと、鬼龍院くんの顔が申し訳なさそうな表情になる。
「そうか……すまないな近衛クン。僕がそっちを手伝えればいいんだが」
「生徒会の方が忙しいんだから仕方ないよ! 無理しちゃダメだよ、鬼龍院くん!」
生徒会での後夜祭の準備だって、かなり忙しいはずだ。
その関係で鬼龍院くんもこの時間まで残ってるんだろうし、こっちも忙しいから手伝ってなんて、言えるわけがない。
「こっちのことは、私と彼方に安心……できるかは分からないけれど、とにかく任せてよ!」
そこまで言うと、鬼龍院くんは少しだけ困ったように、と思ったら嬉しそうに、やわらかく微笑んだ。