【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
▽「……ちょっとだけ、甘えても……いい?」
「一色くんおはよー!」
「きゃー! 一色くんこっち向いてー!」
「ほら、あの人が例の一色くんだよ! カッコいい~」
登校中。
あちらこちらで聞こえてくるのは、女の子たちの黄色い声。
全ては今私の隣にいる彼方に向けられたもので……。
「お、最近モテモテの一色彼方くんじゃないですかー!」
教室に入るやいなや、そんな声が飛んできた。
彼方が目立ち始めたのは、やはりテストで学年トップを取ってからだろう。
それから『成績優秀・運動神経抜群・おまけに美男子』の彼方の噂は一気に学校に広まり、
今では女の子たちの注目のまとになっていた。
本人はまったく気にせずって感じだけど……。