こっち向いて笑って、先輩!


「だって、1年でも知ってるでしょ?和那が誰とも付き合わないってこと。それなのに…あ、桃ちゃんだっけ?桃ちゃんよくやるよね〜。毎日自己紹介するから俺も名前覚えちゃったよ」


「あ、は、、はぁ…」


穴があったら入りたい。


野村先輩が私の名前を覚えてくれていたことは嬉しいけど。

いや、あんなに自己紹介してたら嫌でも覚えちゃうよね。


如月先輩を目の前にアプローチをするのは全然なんとも思わないのに。

先輩がいないとき、他人に自分の行動を話されると恥ずかしくてそれこそ倒れそう。


しかも、こんなやつの前で…。
気付けば隣に立っていた飯田を横目で確認する。

「お前、如月先輩のこと好きって言うのまじなのかよ」


「え、わ、悪い?!」


「そんなふざけた話、嘘だと思ってたわ」


ふざけたって…。



「まぁ、こんな長いこと毎日告白してる子なんて桃ちゃんが初めてだしさ〜俺ちょっと応援───」



「おい」


っ!!


突然、野村先輩の背後から声がかかると、伸びてきた手が野村先輩の耳を勢いよくつねった。


嘘でしょ。



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