マーブル・キス ~甘い妄想~
「嫌です」
「なんですって!?もう一度言ってみなさいよ」
「だから、嫌です」

相手の目を見て啖呵を切った私に、女子集団は目を吊り上らせて怒りを露わにしていた。

そうだった。こんなところで油を売っている場合じゃなかった。試合が始まっちゃう。

「すみません。試合がそろそろ始まるのでそこを通してもらっていいですか?」
「はあ!?あんた逃げる気?」
「いや、だから試合が…」
「幼なじみだか知らないけど、調子にのりすぎ」

いや、だから人の話を聞けやっ!

「こいつムカつく」
集団の一人が私の態度に腹が立ったらしく左手が空を切った。

ヤバい。叩かれる。
思わず目をつむってその瞬間を待ったけど、頬に痛みを感じることはなかった。
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