私と結婚してください。
「といってもね、私もよくわかんない状態なの」
足の長い椅子に私も腰掛け、自分で淹れた紅茶を一口飲んですぐに話始める私。
大丈夫?向こうに聞こえてないよね?
……大丈夫か。みんな話に夢中でこっち見てないわ。
「と、言いますと?」
「んー、自分の中の感情に気づいて受け入れて向き合うことはし始めたのね、やっと。
なんかでも今竜司くんの言葉に翻弄されてて…」
「あ、神崎さんに告白されましたか?」
「えっ!?え、なんで…?」
「神崎さんを見ていればわかります。
というより、ずっと神崎さんと一緒に過ごしてきたので、希依さんに対する態度が特別なものだと、私も伊織様も吉良さんも気づいてらっしゃいますよ。」
そ、そうなのか……
ってことは、あれはやっぱり告白?本気の?
それにしてはちょっと軽かった気もするけど……まぁよくわかんない人だからな、竜司くんは。
「……まぁ、気持ち伝えられたんだけど
それだけじゃなくてなんか凰成のこととか……
まとめると、凰成の姫をめぐにさせて、私は竜司くんの姫になれって言われたのね。」
「あの方に吉良さんの姫は務まるとは思いかねますが…」
「どうして?」
「……あの方は、吉良さんの表面しか興味がないからです」
「表面?」
見た目、ってこと……?
「私が希依さんと友好関係を築きたいと思ったのは、希依さんが吉良さんや、私たちに備わる地位や財産、見た目、その他いろんなことに興味がなく、純粋に姫をやろうという気持ちが読み取れたからです。」
う……、まぁ…興味ないわな…
なんならあの頃は一年の我慢だ!!的な感じだったしな。
「ですが、あの方はそうではない。
以前、お寿司屋さんでご一緒したとき、あの方は私たちの表面しか見ていないことに気づきました。
吉良さんに対する恋心も、本当の恋なのか疑わしいところがあります。
恋、というよりも
こんなに価値がある男性はなかなかいない
そういう吉良さんにある希少価値に恋をしているように思えます。」
「希少価値…」
まぁ、希少価値というものは確かにあるのかもしれない。
あの吉良グループの御曹司、一人息子。
そして、あのルックス。
他ではなかなか出会うことのできない人であることには変わりない。
もちろん、伊織くんも頼くんも
竜司くんも。