私と結婚してください。



それから私も一通りピアノを弾いてみる。
まぁ初見で一発で通せるわけもなく…だけど、全然難しくはなくて、30分もすれば結構上達していた。


「希依ちゃんピアノめっちゃうまいじゃん
なんか下手みたいなこと前言ってたけど」

「だって私はいつも椎依と比べられてきたんだよ?
椎依に比べたら私なんて…ねぇ?」

「そう?俺は希依ちゃんの音も好きだけどな」


私の音、か……

前言われたな。
椎依の音は柔らかくて優しい。
それに比べて私の音は小さい犬がきゃんきゃん騒いでるような固い音だって。

ピアノには向いてない、って……


「ね、もう合わせてみない?
もう俺らならできそうじゃない?」

「あ、うん
ちょうど1回合わせたら授業も終わりそうだしね」


と、とりあえず初日から音合わせ。
特別難しくもないこの曲だから、合わせてみたらもうそれはほぼほぼ完成してるといっても過言ではなくて…


「もうこれ完璧っしょ」


竜司くんもご満悦だ。


「いーや、まだだな」


そこに先生が登場した。


「確かに譜面は追えてるし、息も合ってる。
でも表現力が足りないな」

「…表現力?」

「二人の気持ちがまったく見えてこない。
お前らのはソロを合わせただけだ。
ハーモニーっていうのはもっと2人だからこそできる表現があるはずだ。
それができなきゃ、最高点はつけれらないからな~」

「キビシーー!!」

「……表現力、か…」


なかなかハイレベルなことを求めてきますね…


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