愛すべき、藤井。



……私も藤井の恋愛対象になれたのかもしれないって思うと少しだけ浮つく心。


だけどさ、


「ちょっと待って。なんで?なんで藤井がそんな偉そうなの?『もったいなくね?』ってどの口が言うの?私今、ムカつきすぎて頭おかしくなりそうだけど」


やっぱり、私と藤井の間に『ムード』なんてものは長く続かない。いや、続くも何も最初からないに等しいか。


「言っとくけどね!私がこの先 立花くんを好きになるのも、神田くんを好きになるのも、藤井を諦めずに追いかけるのも、ぜーんぶ私の自由だからね!」



「そこ、勘違いしないように」そう付け足した私に、目を見開く藤井はアホヅラ全開。



「お……おう」


きっと藤井はこれからも、鈍感極まりないその精神で私を振り回しては、時に心ない言葉1つで私のHPを一撃でゼロにするんだろうけど、


それでも私は、何だかんだ言いながらそんな藤井を笑って許しちゃう気がするよ。


……損だなぁって思うけど、



それもこれも全部、私が藤井の傍で笑っていたいからなんだもん、しょうがないじゃん。

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